栗山斉《∴0=1−真空》
この世において、完全な真空などあり得ない。そこには必ず何らかの分子、原子、素粒子が存在する。つまり、絶対無という概念は現実世界においては成立し得
ないのである。したがって、ここでは存在と不在という概念は同じ事象を示すものとなる。さらに、インフレーション宇宙論によれば、ビッグバンを引き起こし
たのは真空のエネルギーだということになっている。つまり、宇宙、或はすべてのもの(存在)は真空(無、不在)から生まれたということになる。
ガラスの内部はターボ分子ポンプにより1×10⁻⁵Paの高真空状態になっている。しかし、この中にもまだ僅かな分子が残っている。よって、この空間は無(終わり)とも有(始まり)とも捉えることができる。
かつて労働者の簡易宿泊施設だったドヤの空き部屋もまた同じような性質を有する空間である。

∴0=1--真空/2008年 ガラス、1×10⁻⁵Paの真空
©hitoshi kuriyama















